第124回日本医学物理学会学術大会

大会長挨拶

第124回日本医学物理学会学術大会
大会長 川村 愼二
会長:川村 愼二

このたび、第124回日本医学物理学会学術大会を2022年(令和4年)9月16日(金)~17日(土)の日程で、長崎県(長崎ブリックホール)において開催させていただくことになりました。大会長を仰せつかりました帝京大学福岡医療技術学部の川村です。本大会は長崎県の実行委員を中心に九州地区全体で皆様を歓迎いたします。学会員はじめ多くの皆様方にお越しいただくことを大変楽しみにしております。

今回の学術大会のテーマは、「医学物理学の新たな展開 ―学術分野を越えた連携から―」とさせていただきました。SARS-CoV-2感染症(Covid-19)は、発生から2年経過した現在においても人類社会を脅かしています。社会活動や生活様式も大きく変化し、学術研究の交流の場である学会はオンラインやオンデマンドになり、感染対策強化に伴う研究・教育への影響も計り知れません。医学物理分野においても、このような変化への対応が求められる状況です。そこで、われわれ医学物理学会も「New Normal」という創造的な未来への展開にシフトする必要があるものと考えます。所属や職種、世代、ジェンダー、および専門分野など、さまざまな立場や考えの人々が学術的交流を通して『連携』するという新しい文化を取り入れることは、これからの新しい医学物理学にとって、とても重要なことと考えます。

その前提に立って、今回の学術大会においては、さまざまな『連携』を深めていただく取り組みを実施します。ティーザー研究発表形式を導入し、メイン会場でさまざまな研究のショートプレゼンテーションを視聴した後、対面でのディスカッションを個別に行います。また、客観的・論理的思考を探るディベートや関連企業からのwork in progressなど、参加者の方々が相互に有用な情報を共有できる企画を行います。是非この学術大会を多くの方々に意見交換の場として利用していただきたいと考えております。

ご存じの通り、長崎市は世界の中でも2か所でしか経験していない原爆を受けることにより、放射線生物学、放射線防護学、放射線災害医学など、わが国の放射線科学研究を牽引し続けています。また、長い鎖国時代にわが国で唯一世界に門戸を開いて学術発展に貢献し、中国、西洋、日本が融合したユニークな文化遺産を持ちます。さらに、食文化においても中華料理やちゃんぽんのみならず、対馬海流の恩恵によって、イカ、アジ、エビ、ハモ、フグなど豊富な海の幸を堪能でき、五感に刺激的・魅力的な都市です。この長崎の地で大会を開催できることは、医学物理学の新たな展開を目指すべき私たちが知識を共有し、アイデアを醸成するために最も適した場所と考えます。感染症の影響は予測のつかない状況ではございますが、長崎の地に多くの方にご参集いただき、素晴らしい体験や実りある交流を通して『連携』を深めていただくことを心より祈念して、ご挨拶に代えさせていただきます。

2022年(令和4年)1月吉日